5ch公認の仮想通貨「すすコイン」というものがあるらしいが……
お詫び
記事の公開後,記事に事実誤認があるという指摘を受けて調べなおしたところ,「今後の予定」部分を中心に複数の誤りが見つかり,修正いたしました.大変申し訳ありません.(2018.11.02 追記)
はじめに
最近(といっても2か月前ですが),5chを開くと,
【すすコイン】期間限定キャンペーンのお知らせ!
といういかにも怪しげな924スレッド1 が立っていることに気付きました.
また,ウェブブラウザで5chを開くと,ページの上部に
【すすコイン】susucoinエアドロップ実施中!【期間限定延長中】
という広告まで載っています.しかし,かなり目立っている割にはあまり話題にはなっていないし, 詳しい情報もネットに上がっていません.
そこで,この謎の「すすコイン」というものが気になったので調べていこうと思います。お断りしておきますが,ちなみに私は仮想通貨の「か」の字も知りません.
どういうものなのか
ざっくり
すすコインは仮想通貨の一種です.仮想通貨といえば,広く使われているビットコインとか,最近社会を賑わせたネムとか,いろいろな種類があります.
今回紹介するすすコインも,その数あるうちの一つです.
5chの板の名前を冠した仮想通貨はVIPSTAR(ニュー速VIP),NANJCOIN(なんJ)のように多くありますが,5ch公認の仮想通貨はこれだけです.
5chとの謎の提携
例の924スレを見ると,
★すすコイン ってなに?
いわゆる仮想通貨です。ビットコインとかの仲間です。
実は5ちゃんねるとすすコインは提携を結んじゃいましたw
とあります.ええ…いつの間に…(困惑)
ついでに,このコインを専門に扱う板(すすコイン板)まで 新設されています.はっきり言って異常なほどの待遇です. すすコインは単に5ch公認というだけではなさそうな気さえします.
どういう通貨なのか
いくら謎に包まれているとはいえ,公式サイトはちゃんと存在します.
ところで,筆者は最近知ったのですが,今どきの仮想通貨は ほかの通貨との差別化のために理念のようなものを持っているらしいです. ホワイトペーパーによるとこの通貨の理念は
Susucoin は自由な言論を保管しておくために、トランザクション上に格納容量を追加して設計された PoW の暗号通貨です。
だそうです.これだけだとはっきり言って意味不明です.他の文章も読んでいきます.
そこで,,どうやら独自開発した「SUMOプロトコル」というものを使って, さまざまな情報をブロックチェーン上に情報を保存するという方法で 匿名かつ管理者のいない共同体を作りあげ, その中で言論の自由を守るのがこのコインの目的であるみたいだとわかります. 仮想通貨でそのようなことができたらすごいですが.
すすコインとSUMOプロトコルとの関係ですが,これはいまいち判然としません. 現在は,情報の書き込みにコインを使うことが分かっているくらいです.
肝心のSUMOプロトコルについてもですが, 現在は数ページの仕様書が公開されているのみで, 詳細ははっきりしていません.うーん……
まあ,もし本当に完全に匿名な書き込みのできるコミュニティができたとしたら楽しそうです.
運営は誰?
さて,次に気になるのは運営です.
しかし,運営についても,どのような団体が運営しているかは明かされていません. とりあえず分からないなりにいろいろ見てみます.
whoisを使って公式サイトの登録情報を見てみると,その中に
Registration Service Provider:
N.T.Technology inc., email@nttec.com
と書かれています. N.T.Technologyといえば5chの管理者Jim Watkins氏が会長を務めており,また5chサーバーを管理している会社です.
また,GitHub上でのcommit履歴を見てみます.すると,Ron Watkins氏(Jim Watkinsの息子,5chの管理者)がかなりcommitしているのがわかります.また,外部からのpull requestをmargeしているのも彼です.
あくまで推測にすぎませんが,すすコインの運営と5chの運営は同じなのではないでしょうか. 運営を明らかにしてくれた方が,ユーザーは安心してサービスを利用できると個人的には思うのですが……
今後どうなるのか
周知の失敗
実は,5ch上で,すすコインを周知させる試みがいくつか行われてきました.しかし,どれも成功したとは言い難いのが現状です.
エアドロップ
エアドロップとは,仮想通貨の認知度の上昇のために運営がコインを配布することを言います.
すすコインも複数のエアドロップキャンペーンをやってきました.そのうちのひとつに,温泉フェスティバル(仮称w)
というものがあります.
5chにレスをする際に自分のウォレットアドレス2 を添えると,少額のコイン(0.0003-0.005 susuくらい)が送られてくるというもので,これは現在もやっているキャンペーンです.
現在,新しくすすコインを始めるときにまず手に入れるとしたら,これを利用するのがいいでしょう.マイニングだとかいろいろやるよりは,これが一番楽で安価です.
ですが,この手軽さが裏目に出てしまったようです. 連投スクリプトを使用して5chに書き込んでコインを得ようという人が増え,多くの板に連投荒らしが出現しました. そのため,なんでも実況J板やAnarchy実況板ではアドレスの書き込みが禁止される事態となり,コインの周知とは逆行した結果になってしまいました.
他にも様々なエアドロップのキャンペーンをやっているようですが,残念ながらどれもいまいち認知されていないようです.
「浪人」の配布
5chには「浪人」という有料サービスがあり,これを使うとどんなスレでも匿名で書き込むことができる,などのメリットがあります.
現在,0.01 susuで浪人24時間分が購入できるサービスが,すすコイン運営側から提供されています.
このサービスを使うと,匿名かつ無料で浪人が買えるため,かなり魅力的だと思うのですが,あまり全面的に宣伝しているという訳ではありません. すすコインの公式サイトにも載っておらず,公式Twitterでピン止めされていますがあまり拡散はされていません.なんだかもったいない気がします…
今後の予定
公式から,今月(11月)中のSUMOプロトコル公開,同月第二週に国内の取引場への上場申請を予定しているという発言がありました.
懸念
現在,すすコインは浪人一日分が0.01 susuで買えるほど価値のある通貨ですが,取引場への上場後は,すすコイン経由で浪人を安く買われることが無いように浪人のすすコイン価格が調整されるはずです.たとえば1 susu = 0.05 円
になったとすると,浪人は1日あたり約90 susuになるでしょう.したがって,上場直後にかなり強い「インフレーション」が起こるのではないでしょうか.現在この通貨を持っている人にはあまりうれしくない話です.
まとめ
現在の情報だけでは先行きを不安視せざるを得ないというのがすすコインの現状だと言わざるを得ません.
これから,すすコインは,浪人を買うのにすら使えなくなるとすると,もはや正体不明の「SUMOプロトコル」に活路を求めるしかなさそうな気がします.SUMOがいかに社会に受け入れられていくかで,この通貨の今後が決まるといっても過言ではありません.
とりあえずは運営の対応と認知度の上昇に期待です. 個人的には,投機対象としてではなく,使って遊んでみるとかそういったものになっても面白いと思います.